小麦に集まる人々の心

皆さん、こんにちは

粉屋の安孫子です。

 

ハルユタカの普及に力を注いできた私たちでしたが、地元の食材も知ってもらおうと、新しい企画に乗り出します。それは会社以外の皆さんとタッグを組み、互いのアイデアを出し合って全国焼き菓子コンペを江別で開催するという挑戦です。プロの職人に呼びかける本格的なコンクール。私たちの道産小麦がどう評価されるのか。とても大きな課題でもありました。「北海道にはお菓子に使える小麦がある。パンが焼ける小麦がある」。このイベントを通じて各地のプロに証明してもらうことで、全国へ広める起爆剤にしたい。それが私たちの願いであり、開催の目的でした。

左から提案者の佐久間良博、実行委員長の安孫子建雄、副委員長の高田寛司氏
左から提案者の佐久間良博、実行委員長の安孫子建雄、副委員長の高田寛司氏

しかし、単にお菓子のコンクールだけを開いても、業界の催しで終わってしまい、地元で行う意味が薄らぎます。もっともっと市民参加型のお祭りにしなくてはなりません。そこで、演劇や舞台を手がける仲間が小中学校に声をかけ、お菓子をテーマに作文や絵画を寄稿してもらうよう協力を仰ぎました。また、専門家によるフォーラムを主体にしながらも、お菓子の試食会、幼稚園児によるマーチングバンドなども組み込み、大人も子どもも、町の人々が一体となれるバラエティに富んだプログラムを用意しました。大型ポスター、プログラム入りのパンフレットが着々と準備され、開催前日には300を超える参加者から渾身の焼き菓子も到着。さぁ、あとはお天気になるのを祈るだけです。

「全国焼き菓子コンペ98‘」。イベント当日は、見事な秋晴れ。私たちのワクワクをお天道さまも知っているかのようでした。江別市大麻のエポアホールには、この日を待ちかねた皆さんが続々と集まってきました。講演会に続いてメインイベントの審査会。奇しくも、同じ江別市内の菓子店に勤める女性パティシエがコンテストの頂点に立ち、ホールいっぱいにあふれた人々から惜しみない拍手が贈られました。

私たちの手で初めて開催した、お菓子の祭典。食品衛生上の問題や数量を考え、全員にお菓子を振る舞えなかったことだけが残念でなりませんが、集まった皆さんの笑顔とともに、地域を意識したこのイベントの目的が一つ果たされたと言えるでしょう。