皆さん、こんにちは。
粉屋の安孫子です。
前回、いよいよハルユタカが一人歩きをはじめ、私たちの知らぬ間にパンへと変身したまではお伝えしました。今回は、そのハルユタカが世間へデビューするエピソードをお話しましょう。
ハルユタカを使って、美味しくパンが焼けた矢野先生は、私へいくつもの質問を投げかけました。会社の規模や取り扱いの量、一袋のキロ数と値段、そして受付や支払い、配送方法まで詳しく尋ねてくるのです。私は聞かれるままに答えておりましたが、ある時やっと気がついたのです。「そうか、ハルユタカを買うのはパン教室に通うような、一般の主婦が中心なのだ」。以前からカナダ産の小麦で家庭用パンミックスを考案していた私たちにとって、まさかハルユタカが材料になるとは思っておらず、これは嬉しい誤算でした。
ハルユタカは不思議な小麦。実は、私たちはすでに家庭用パンミックスを販売するにあたり、当時はまだ珍しかったフリーダイヤルをNTTと契約し、配送は日本通運と話を進めていたのです。しかも支払いは代引きという画期的なシステム。今では当たり前になった配達ドライバーさんとの金銭授受が、通信販売の手間をグッと身近なものに変えたのです。カナダ産小麦のパンミックスのために万端整えてきたシステムでしたが、そこへちゃっかりとハルユタカが便乗したかのようでした。
これには矢野先生も大満足。先生の望む条件とは、会社の規模が小さすぎても大きすぎてもいけません。小麦粉が途中で足りなくなっても困りますし、大きすぎると少ない量での扱いが難しいからです。先生は、そういった点まで気にかけていたのです。販売する小麦粉一袋の量も、家庭の主婦が持てあますほど多くてもいけません。まさに5キロがほどほどの量でした。それに加え、主婦の皆さんが家にいながら小麦粉を注文し、配達時に支払うことができるのですから、とても便利。これらの好条件を引っさげて、国産小麦ハルユタカは矢野先生の本でデビューすることとなりました。このおかげで我ら江別製粉の名も、ハルユタカを取り扱う製粉会社として矢野先生の本に掲載されたのです。
私たちの手を離れ、東京で自ら営業?に成功したハルユタカくん。パンが焼ける道産小麦として快進撃することになるのです。
左:矢野さき子さん著のパンの本
右:巻頭のトップページにハルユタカのパンが。右上の食パンがハルユタカ
下:本の最後にハルユタカの名とともに、我が社の名前が掲載
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