一粒の小麦が命をつなぐ

こんにちは、粉屋の安孫子です。

 

先日から始まったハルユタカの連載ですが、今日は小麦のことについて、ちょっと触れてみたいと思います。

 

米、トウモロコシに並び世界三大穀物にあげられる小麦。その歴史は古く、約1万年前から人々の暮らしとともにあったと言われています。今の私たちには、1万年前のことなどおよそ想像もつきませんが、人類の発展は農耕による食の安定によってもたらされたと言っても大げさではないようです。

 

私たちはすべて、水と食料がないと生きてはいけません。アフリカ、ヨーロッパ、中東、中央および東アジア。言うなれば、アフリカとユーラシア大陸という、これほどの広域に亘って人々のお腹を満たしてきた小麦の存在は、地球上においてとても重要で大きな役割を担っていることになります。

 

これは後々お伝えしたいテーマの一つではありますが、これら世界の小麦の生産力を、飛躍的に変えた日本人がいるのです。背が低く、頑丈で、骨太な小麦。倒れずにたくさん実る、豊かな小麦。まるで当時の日本の農家のような力強い小麦を、一人の男が生みだしたというお話です。農林10号、通称ノーリン・テンと呼ばれるこの品種。いつしか世界に羽ばたき、研究者の手によって改良が加えられ、飢餓にあえぐ地域の小麦生産量を大幅にあげたことで、人々を飢えから救う結果となるのです。    


世界を大きく変えた農業革新、緑の革命…。

 

たった一粒の小麦が、人類を支えるエネルギーになる。いにしえの古代を知る遺跡のなかから、小麦の穂が発見されて以来、人々の命をつないできたことに歴史ロマンさえ感じます。私がこれからご紹介するハルユタカは、まさにこのノーリン・テンのDNAを受け継ぐ品種の一つとして誕生し、北海道の小麦の文化を花開かせる頼もしい存在へと成長していくのでした。

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コメント: 2
  • #1

    ハルユタカを食した者 (水曜日, 15 7月 2015 06:50)

    私は小麦の風味や香りが大好きなのですが、なかなか小麦の種類を比較したことがないため、ハルユタカは他の品種と比べてどう違うのかが知りたいです。ぜひお時間のある時にテーマにしていただけると幸いでございます。ありがとうございました。

  • #2

    ハルユタカ物語 編集部 (日曜日, 19 7月 2015 00:53)

    ハルユタカを食した者 さま

    エッセイをお読みいただき、またコメントをお寄せいただきまして、本当にありがとうございます。リクエストを頂戴したテーマにつきましては、ハルユタカの成長の過程をお伝えするなかで、その特徴を記す場面が必ずや登場いたします。

    加えて可能であれば、この度のご要望をもとに、国産小麦の代表的な品種の特徴、違いなどもご紹介できればと思っております。

    今後とも、この連載をご愛読いただき、長くお付き合い願えればと存じます。どうか、これからも宜しくお願い申し上げます。